■〔映画鑑賞メモVol.6〕『ファム・ファタール』(2002/ブライアン・デ・パルマ) |
11月4日、金曜日か...(^^) いやぁ、昨日(3日)から日曜日(6日)に架けて4連休の人たちも居ますよね、 まぁ、東京あたりは、本日同様に明日あたりも天気が良さそうですし、僕もせいぜい2連休(^^)をのんびり過ごすことと致しましょう、 ―あっ、御挨拶が遅くなりました(^^)、 おはようございます、 昨日の祝日は、わが家には予定通りに来客があり、また、何度か外出もあり、ほとんど集中してパソコンの前に居られなかったダーリン/Oh-Wellです((^^) さて、昨日未明に、ちょろっとエントリーしたというか、途中まで書いてアップしたものがあった訳ですが、日付も変わってしまった事ですし、 うん、ここは一つ、改めてエントリーをし直しましょう!!(^^) ―という訳で、さて((^^)、 極めて映画的なヒロイン像の一つとして、 “ファム・ファタール”と呼称されるものがあるかと僕は思っています、 それは、大まかに言えば、 主人公にとっての“運命の女”であり、 また、思慮深い男をも惑わせ、狂わせるに足る美貌、妖艶さを持っているのみならず、生来的とも思える如き“悪女”性を纏(まと)っていることが少なくない…、 それら、ファム・ファタール的なヒロイン像は、小説などに於いても魅力的なキャラクター造形は少なからずあるかと思うのですが、 手練(てだれ)の映画作家たちの演出によってスクリーン上に姿形を与えられた“ファム・ファタール”的なキャラクターたちを目の当たりにすることは、また、格別な感銘を得られるものとなるのではないでしょうか、 ****** 今、ファム・ファタールと云うものの、小説や映画に於ける誕生の背景、由来などを書き示すことは措(お)くとして(^^)、 ともかく、これまた大まかに言って、ファム・ファタール的ヒロインと云うものは、 フィルム・ノワール(暗黒映画)と呼ばれる、その内の、主たるは、1940年代のモノクロ撮影によるハリウッド犯罪映画の中にこそ最も魅惑的なものが数多く在るかと僕は思います、 このフィルム・ノワールにあるファム・ファタール的なヒロインというものは、先述したように、まずもって、主人公、男たちにとっての“運命の女”である訳ですが、 ただ、必ずしも、同時に“悪女”であるとは限らない(※例えば、『暗黒街の弾痕(1937/フリッツ・ラング)』での、シルヴィア・シドニー〔◆IMDb◆当ブログ内関連エントリー〕扮するヒロイン“ジョーン/joan”等…)という事は、僕なりの実感として付け加えておきたいと思います。 ****** さて、 “運命の女”、“悪女”、その両方の要素を備えたファム・ファタールとして、僕に取っての印象深い5つを女優名で挙げてみます。 ◆1・・・ジョーン・ベネット ~『緋色の街/スカーレット・ストリート』(1945/フリッツ・ラング) →破滅させられる男(^^):エドワード・G・ロビンソン ◆2・・・エヴァ・ガードナー ~『殺人者』(1946/ロバート・シオドマク) →破滅させられる男(^^):バート・ランカスター ◆3・・・バーバラ・スタンウィック ~『深夜の告白』(1944/ビリー・ワイルダー) →破滅させられる男(^^):フレッド・マクマレイ ◆4・・・シモーヌ・シモン ~『獣人』(1938/ジャン・ルノワール) ジャン・ギャバン←他の男たちのようにヒロインに惹かれることで身を滅ぼすのでもあり、また、自らの先天的なものによっても…(以下省略^^) ◆5・・・ジョーン・ベネット ~『飾窓の女』(1945) →滅ぼされる(?)男(^^):エドワード・G・ロビンソン ―という訳で、 今回は、上でも取り上げた、『深夜の告白』中の「大した悪女だよ…」と云った、フレッド・マクマレイ扮する主人公の台詞から始まる映画でもある、ブライアン・デ・パルマの『ファム・ファタール』(2002)についての鑑賞メモを残して本エントリーの締めとさせて頂きます。 悪夢と希望の交錯を新たな出会いに収斂 ***ネタバレ注意 映画冒頭、大写しにされたTVモニターには『深夜の告白』(1944/ビリー・ワイルダー〔※左Ph〕)が流れている。ヒロインのロール(レベッカ・ローミン)がベッドに横になりながらそれを一心に見詰めている。 TVモニター中の映画では、主役のフレッド・マクマレイが窓際に進みカーテンに手を掛けるシーンに転じ、彼がカーテンを閉めるやヒロインのバーバラ・スタンウィックが銃を発砲、ここでスクリーン上には“FEMME FATALE”の題字が立ち現れる。 ホテルの部屋に“蛇のビスチェ”(スネーク・ブラ)強奪計画の首謀者、ブラック・タイなる男がやって来る。彼はTVモニターを乱暴に切り、何やらロールに強盗計画のあらましを念押し気味に話し始める。ロールを送り出したブラック・タイが部屋のカーテンを開け放つと、其処には赤絨毯と人の黒だかりが。 ここからの、“蛇のビスチェ”強奪を描く十数分に亘るデ・パルマ映像は、併走する坂本龍一のスコア“Borelish”(※坂本自ら「ボレロのようなもの」という意味付けで、この曲名を冠したらしい)の心地良さと相俟って、緊迫と愉楽が持続する。 ロールは黒いレザーの上下に身を包み、カメラマンとして、カンヌ映画祭が開かれている夜中の会場前に立つ。 会場に現れた、“蛇のビスチェ”を素肌に纏(まと)ったヴェロニカ(リエ・ラスムッセン)を見つけたロールは、何度もシャッターを切り、ヴェロニカも何度もポーズを変え、恍惚の面持ちで応じる。 此処…冒頭十数分ほどに於けるクライマックスでは、詳細は伏せるが、ヴェロニカなる女の体から、イヤリング、ブレス、“蛇のビスチェ”が、レベッカ・ローミン=ステイモス扮する主役ヒロイン、ロールによって外され、二人の足元に落とされて行く。 同性愛行為に耽る2人の足元にあるそれらを、磨(す)りガラスの反対側に居るブラック・タイが、偽のイヤリング、ブレス、“蛇のビスチェ”と入れ替えて行く。 さて、ロールはビスチェ強奪計画の一味を出し抜く。 後日、黒いヘア・ウィッグを被ったロールが教会前でヴェロニカと会っている。彼女たちの姿に、アントニオ・バンデラス扮するカメラマン、ニコラスが魅入らされてシャッターを切る。何度も切られるシャッター音に気づいたロールはニコラスに荒々しい声を上げる。 兎も角、写真をものにしたニコラスはご満悦な素振り。彼はアパートのバルコニーから見えるパリの風景をコラージュ的な作品として成し遂げようとしているらしく、プリンタから出力したばかりの新たなパーツ(写真)を大きなパネルに嵌(は)め込んで行く。 *** 此処、『ファム・ファタール』では、主に、透明なもの…水、ガラス、レンズ、また、写真等を介して≪本物と偽(贋)物≫≪現実と夢、あるいは既視感≫が交錯する。 さて、ロールは教会内に身を隠し、ヴェロニカから受け取った、おそらく偽造パスポートに関するメモを広げる。ミサに列席していた初老カップルはそんな黒髪のロールをリリーという女性と思い込み近づく。 ロールは、初老カップルから逃げ、メモに有った空港ホテルへ。部屋に入ったロールは、侵入していた強奪実行犯の一人と揉み合い部屋の外へ、仕舞いには回廊から放り投げ出され、彼女の体は一面のガラス張りを突き破り地下の資材置き場に落下。 ロールは、件の初老のカップルにリリーの自宅で介抱される。ロールはベッド脇の写真を見、リリーなる女性が自分と瓜二つである事に気づく。また、別室の花束や弔電から、リリーが夫と娘を亡くしたことを察し、一方、リリーのパスポートとアメリカ行きの航空券を発見してほくそ笑む。 *** ロールは、黒いヘアウィッグを外しバスタブに身を沈める。他の部屋同様、此処バスルームにも、リリーが夫、娘と納まった幸福な日々の写真が数多く飾られている。 映画は、このバスルームのシーンを起点に持つ未来を二つ示す。 此処ではひとつを伏せよう。 バスタブでの転寝(うたたね)から慌てて目覚めたロールは、程無く、玄関での人の気配に気付く。ほどなく、それは、悲しみに暮れたリリーであることが分かる。 詳細は省くが、ロールは、失意に押し潰されんばかりのリリーに明るい未来を示唆しつつ、自らも悪夢から浄化されて行く。 ―7年後、 迷彩服に身を包んだヴェロニカと白いブラウスのロールがカフェのテーブルを一つにしている。 一方で、ニコラスが街の一光景として、そんな2人をレンズ越しに見、写真に収めている。 ヴェロニカは宝石売却で得た金の分け前をロールに受け渡した後、「会うのはもうこれ切りよ」と言い、悠然と立ち去って行く。 僕は、カンヌの赤絨毯に“蛇のビスチェ”を纏って現れてから、劇中、刺すような眼差しと“身軽さ”で一貫したヴェロニカの存在は、この映画の卑俗性に超俗性を加えていたように思う…。 終幕近く、ヴェロニカはブラック・タイ等に見つかってしまい、街中で乱暴に体を取り押さえられる…、そんな彼女の命を救ったものは、リリーのアメリカ旅立ちの日、彼女を(空港まで)送ったトラック運転手、延いては、彼の運転するトラックのバックミラーに吊り下げられたガラス球ペンダント(※リリーの愛娘の形見)に雲間からの強い陽射しが反射し、彼がハンドルを切り損なったが為… ラスト、 ヴェロニカと別れたロールは、ニコラスと生身の女として触れ合う。僕は運命の交錯を新たな出会いに収斂させた結末にカタルシスを得られた。 〔当ブログ内の関連記事〕 ■〔映画雑談Vol.12〕ブライアン・デ・パルマ監督最新作“The Black Dahlia”(※2006年全米公開予定)鑑賞前メモ―その1 |
by oh_darling66
| 2005-11-04 08:56
| ■映画鑑賞メモ/鑑賞プチ・メモ
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