■〔映画雑談Vol.3〕「こんな寅さん映画も観てみたかった」~4人の名優に捧げる |
昨年の12月に友人仲間で集まって飲んだ際、不意に「こんな寅さんってどう?」みたいに話を切り出した男がいました。そこに居た数人ほどの皆が皆揃って大の映画ファンという訳では無かったにも拘らず結構盛り上がってしまったものです。 その一例を引くと、 監督:大島渚 寅次郎:戸浦六宏(※左のPh)or.渡辺文雄or. 佐藤慶 さくら:岸田今日子 博:山本圭 おいちゃん:渡辺文雄or.小松方正 タコ社長:殿山泰司 御前様:小松方正or.浜村純or.小沢栄太郎 ―とでも云ったものでした。 渡辺文雄、戸浦六宏、小松方正、佐藤慶の所謂“大島組”と呼称される俳優たちを主役、主要キャラに配している事でお分かりかとも思うのですが、「大島映画」としての寅さん、つまりは、アンチ“寅さん”映画を見たいというのが、その時の面子の潜在意識の中には多少にせよあった訳なのでしょう。 僕は、戸浦六宏(とうらろっこう/故人)の寅さん、岸田今日子のさくらは賛同したなぁ。 戸浦六宏は冷酷な役どころを演じても官僚的な役どころを演じても、どこか憎み切れない人間的弱さが滲み出て来るような部分が堪らなく魅力的なんだよなぁ…。 佐藤慶を主役の寅さんに据えた場合は、完全に大島渚的なアンチ人情劇とでも云ったものと為ってしまうでしょう。この、どんな憎まれ役でも見事にモノにする、しかし、この冷ややかなルックの名優を核に据えてのアンチ“寅さん”映画は、稀代の名品とは為りえてもシリーズ化は有り得なかったのではないかと思われます。 渡辺文雄(故人/左のPh)もさまざまな憎まれ役を嬉々と演じて絶品でした。こう…、しぶとい生命力を持った憎まれ役が少なくなかったし、見た目が佐藤慶よりも大らかです。 かように、大島渚的なアンチ人情劇の中でも、渡辺文雄ならば、本家“寅さん”的な人懐っこさも、内に持つ身勝手さも過不足なく体現できたでしょう。(※昭和50年頃までに上記の監督、配役で製作された場合を想定して書いています(^^))。 ただ、一つ言えそうなのが、渡辺文雄の寅さんだとシニカルな喜劇も叶ったであろうが、仮に大島監督が“アンチ「男はつらいよ」”を狙うことがあったとして、その思惑から乖離して案外万人受けするような人情喜劇として成立してしまったのではないかと…、つまりは渡辺文雄が乗りに乗って“アンチ寅さん”的キャラクターをものにし、尚且つ、そのタフな生命力をまとったキャラクター性が存外多くの観客の心を捉えてしまうことにも為り得たのではないかと…、そして、大島監督も観客の要望に抗えずシリーズ化してしまっていたのではないかと(^^;。 ≪後日、小松方正(故人)を含めて、あらゆる憎まれ役をタフにこなして映画ファンに強烈な余韻を残してきた“大島組”4人の名優に改めて触れてみる事にいたします。≫ ※右Phは、中央が佐藤慶、右端が小松方正。 補足) ■「男はつらいよシリーズ」のDVD情報等は 松竹ホームページ等で! ■なお、今回取り上げ尚且つリンクを貼った俳優の出演作品の情報は、映画のみに関してはリンクを貼った「日本映画データベース」が現在最高のものだと思うのですが、TVドラマを含めた出演作品の情報は「allcinema ONLINE」等に当たられるのが良いかと思います。(※「allcinema ONLINE」へのリンクは“トップページに”とされていますので、当方も個々の作品や人物にリンクする事は差し控えます。悪しからずご了承ください。) 当ブログ内関連記事) ◆ エイプリル・フールとも言われる日が間もなく終ろうとしています。 |
by oh_darling66
| 2005-03-03 00:01
| *映画雑談
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