■〔映画雑談Vol.27〕キム・ギドク映画に関する雑感―その2 |
~『うつせみ(2004)』鑑賞プチ・メモ≪→こちら≫、および、『サマリア』(2004)、『悪い男』(2001)他ギドク映画雑感 & more... おはようございます、ダーリン/Oh-Wellです。 いやはや、ようやく週末の土曜日を迎えられたました。^^ 10月も、早、半ば過ぎと為って行きますねぇ…。 私め、今日は午後から『ブラック・ダリア(2006/ブライアン・デ・パルマ)』〔◆IMDb◆Movie Walker◆当ブログ内の関連エントリー〕を鑑賞予定。 デ・パルマの一ファンとして、(大それた期待などはしていませぬが^^)もう、素朴に楽しみにしています。 あと、日曜日には、『フラガール(2006/李相日)』〔◆Movie Walker〕を鑑賞出来ればと思っています! 僕は、この『フラガール』の予告篇を映画館で何度か観ているのですが、可也勢いの乗った映画なのではないかと思えています。 僕に取っては、映画に於ける蒼井優〔◆jmdb〕の演技を観ることも初体験となるので、ここいら辺りも密かに^^物凄く楽しみなところです。 ―さて、 僕が今、書きまとめておきたいものの一つが、『弓』(2005)を始めとした、幾つかのキム・ギドク監督〔◆IMDb〕作品についてのものなのですが、まぁ、ねっちり^^としたものを書く時間もありませんので、まずは以下に、僕がこれまでにギドク監督の4作品を鑑賞した上での雑感を書き残してみます。 そう、僕がギドク監督作品を映画館で観たのは、この9月から公開されている『弓(2005)』〔◆IMDb〕が最初、かつ、これまで唯一のもの。 『弓』の前には『サマリア(2004)』〔◆IMDb〕を、 そして、『弓』の後には『うつせみ(2004)』〔◆IMDb〕、『悪い男(2001)』〔◆IMDb〕をDVDヴィデオで観賞し、いよいよ、ギドク監督の産み出す、その、特異、かつ、まばゆい諸作品に心奪われている昨今です。 ここまで鑑賞した4本中ですと、僕は、『うつせみ』〔◆IMDb〕が最も豊かな映画時間を持ち得ているように思えています。 この、孤独な主人公が単調な仕事の最中にひと時見た白昼夢のような、あるいは、横暴で自己本位な夫によって身も心も傷付けられ、絶望の果てに抜け殻のようになっているのであろうヒロインの心の奥底に弱々しく残っていた脱出願望が、家宅侵入者たる主人公の不可思議な振る舞いを目の当たりにしたことで、不意に主人公と寄り添って行くという夢に転化したかのような『うつせみ』という映画に紡ぎ出される幻想譚にも通じるような映画時間、そこに浸っての俄かには消えぬ余韻、ファンタジックな煌めきを湛えた結末が喚起する心的浄化…、 この88分の映画時間にある妙味を如何に言葉に置き換えることが出来るのかは見当もつきませんが、いずれ改めて、僕なりに本作から受け止めたものを「鑑賞メモ」等の形で纏(まと)めてみたく思っています。 ―そう、少々余談めいてしまいますが、本作の韓国語原題を日本語に置き換えると「空き屋」とでも為るらしいのですが、米国マーケットに於ける“3-iron”という即物的なタイトルも中々凄いものだなと思いますねぇ…。 本作のラストに有っては、主人公とヒロインが幽体、あるいは、忍者か仙人のごとく重力と無縁になったかのような或るシーンが示される。そんなラストを持つ映画に、劇中印象的な「兇器」たる物「3番アイアン」を持って来るとは、実にギドク映画をめぐるに相応しい反語的なタイトルの付け方だよなぁ…と感じる次第です。 本作は、今年3月に劇場公開された訳ですが、うーむ、映画館に足を運ばなかったことには可也後悔の念を覚えています。まぁ、最早仕方がありません。いずれ、名画座での上映、特集上映などで、スクリーンでの鑑賞も叶うことでしょう。 ギドク監督がこれまでに撮った映画は13本。(―最新作“Time”〔◆IMDb|下Ph〕は、今年5月のカンヌを始め、既に幾つかの国際映画祭などで上映され、この8月から韓国本国で公開中。尚、ギドク監督は、この映画を最後に「韓国映画界から退く」などとも発言しているようなのですが、僕は、ギドク監督は繊細と強靭を兼ね備えた映画作家だと思いますので、韓国の外でも映画を撮り続けることは可能だとは思います。ともかく、多くの映画ファンが既にご周知であろう『グムエル』の公開をめぐるギドク監督の発言以降の韓国国内での騒動が早期に終息することを素朴に願う次第です) 僕は、その13本の内のほんの4本を鑑賞した限りですが、 例えば 、ギドク監督の映画に少なからず見て取れる、露悪的な人間描写、突発的な暴力描写等々に於いては、ひりひりするような心的な痛さを覚えながらも、同時に、そこにある研ぎ澄まされ切迫した時間感覚ゆえ、心的には嫌悪を覚えながらも僕の視線は釘づけと為ってしまいますし、 また、主人公たちが絶望を経た後に、彼、彼女たちに訪れるもののまばゆさを感得出来た際のカタルシス、昂揚感は、不意に、得がたい恩寵の如しにすら思えても来る…。 さらに一つ書き加えておけば、ギドク監督独自の意匠を凝らす中で描き示される、例えば、『サマリア』(※下Ph)に於ける数多くの彫像、彫刻が配された公園での二人のヒロインのかくれんぼ的なじゃれ合い、また、『悪い男』に於いてヒロインが砂浜で見つける2枚の写真をめぐる扱い等々に僕なりに見て取れる、主人公たちの(、時には無意識な、)自分探しの姿というものにも、僕は心掻き立てられています。 ともかく、僕にとっての、『うつせみ』から得られたカタルシス、『サマリア』の粗さ(/荒さ)と洗練、そして、『弓』に於ける、聖・俗、美・醜が綯い合わさったものの果てにあっけらかんと在る神話的光景…やらを、個々の作品を顧みる中で自分なりに言い表せれば(すっきりするだろうな^^)と思えている次第です。 まぁ、僕など、まずもって、観ていないものが多数ある訳ですし、ここまでのギドク作品を如何なるレヴェルにせよ総括できるまでには至っていませんので、まずは、一作品ずつ、「鑑賞メモ」等を書きまとめて行ければと思っています。 〔当ブログ内の関連エントリー〕 ■〔映画雑談Vol.25〕キム・ギドク映画に関する雑感―その1 ~『弓』(2005)、ハン・ヨルム関連プチ・メモ&more... ■〔映画雑談Vol.30〕キム・ギドク新作映画『絶対の愛』(※2007年3月公開)鑑賞前メモ他 1.キム・ギドク最新作『絶対の愛』、2007年3月より渋谷・ユーロスペースにてロードショー & 2月24日よりキム・ギドク監督作品回顧「スーパー・ギドク・マンダラ」開催!! 2.『サラバンド』(2003/ベルイマン)のデジタル・ハイヴィジョン映像についてのメモ ―& 今年最初の映画鑑賞(『ディパーテッド』)が叶いました! >>『悪い男』、『うつせみ』関連 ■〔映画雑談Vol.28〕映画中に於ける印象深い写真 ~『シャイニング』(1980/キューブリック)、『ミッドナイトクロス』(1981/ブライアン・デ・パルマ)他 |
by oh_darling66
| 2006-10-14 10:31
| *映画雑談
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