■〔映画鑑賞メモVol.9〕『ミュンヘン』(2005/スティーヴン・スピルバーグ) |
~「第20回冬季トリノ五輪開催記念」(^^)あれこれ―その2:ああ、ミュン篇(^^) →その1:ああ、トリノ五輪篇~僕のメダル獲得予想は「金3、銀3、銅4」は、こちら! おはようございます、ダーリン/Oh-Wellです! さて、2月12日の朝を迎えました。東京は穏やかな晴天です!! 私め、友人に誘われたこともあり、今週中に『ミュンヘン(2005/スティーヴン・スピルバーグ)』〔>1:IMDb>2:Movie Walker〕の2度目の鑑賞をすることとなりそうです。 そう、一度の鑑賞では、中々この映画についてのエントリーが纏(まと)まらずに居たのですが、取り敢えずは、初鑑賞の際の所感を纏(まと)めておきま~す。 ◆◆『ミュンヘン』鑑賞メモ―その1 スピルバーグが、昨年2005年に於いて『宇宙戦争』に続いて発表した『ミュンヘン』、 僕に取っては、スピルバーグの資質たる、映像で語り切る才気/語り切ろうとする情熱が本作にも存分に反映されていると思え、また、本作を作らずには居れなかった真摯な情熱、真っ直ぐさを映画そのものからじわりと感じ取れ、そこには、何かに特に媚びるような気配も感じられず、 ともかく、目に飛び込んで来るものにさまざまな意味合いで揺さぶられる164分でした。 *** 冒頭からエンディングまでに立ち込める不穏さ、緊迫感、要所要所の胸が締め付けられるようなサスペンス醸成…、 また、暴力描写に於ける、観客の身を竦(すく)ませ凍らせながらも観客の視線を画面に縛りつけるような、鋭利さと重量感迸(ほとばし)る、正に暴力、破壊そのものに取り込まれている錯覚に陥(おちい)らせる如しの映像の凄み、 そして、ミュンヘン・テロへの報復を繰り返す暗殺チームの面子たちの心理描写を擁した悉(ことごと)くに於ける映像センス・技巧…、 ―それらが、スピーディーな編集も、また、ジョン・ウィリアムズの、特に暗殺チームが標的を追い詰めて行く場面などでの、大仰ではなくじわりと不安感を掻き立てて行く、そう、それを見つめる観客の心臓の鼓動と同調して行くかのような正しく心音的音楽演出も功を奏し、 そこに在ってこちらに迫ってくる映像と音の力は、争い、憎しみ、裏切り、報復…などと云った悪しき堂堂巡りとでも云ったものが生み出すものの恐怖、絶望感というものを、観客を刺し抜くような直裁さを以って迫り来る。おそらくは、かの事件を特に知らぬ者にも、かの事件の背景に重たく根深くあるものを観客個々に直感的に想像させ得ると思えもし、ともかく僕にはこの164分そのものが圧巻でした。 *** また、劇中キャラクターを思い起こしますと、まずは、エリック・バナ扮する主人公・アヴナーの、序盤、中盤ほどまで、後半、終幕、それぞれにある姿が醸し出すもの、心境の変遷などには過不足の無い説得力があったかと思います。 さらに、主人公に加えて、僕が特に目を瞠ったキャラクターとして挙げておきたいのが、 主人公のパリに於ける“情報源”たる、ルイ(マチュー・アマルリック|※左Ph:フランス国内の映画賞受賞時|―彼は、『そして僕は恋をする(1996/アルノー・デプレシャン)』の主演などでも少なからず知られているであろう俳優であると同時に、これまでに数本の長編映画を撮っている映画監督でもあります。おそらくは2003年に来日した際のインタビュー記事を何処かで読んだ記憶なのですが、アマルリック自身は「私の本業は映画監督」などと語っていたはず…。)と云うキャラクター。その、小綺麗な身なり風貌や屈折感を含んだ顔つき口ぶり、また、大型犬を引いて街中を歩く姿や愛車シトロエンに納まる姿などでもって劇中キャラクターの中でも中々出色の映画栄えを見せていたかと思います。 また、その父親であり、いわゆる地下組織の統率者たる“パパ”のキャラクター(※映画ファンに取っては、『ジャッカルの日(1973)』に於いて主人公を追う、見事な口髭(くちひげ)をたくわえた警視役などで印象深いであろうミシェル・ロンズデールによって演じられる)の重みも忘れ難い。 ―このフランス人父子の存在から垣間見えて来る、彼らが第二次大戦中から負って来たものは、映画が示す二つの民族の対立構図を助長もし抑止しもするものの一つを示唆しているのでしょう…。 主人公アヴナーをリーダーとする暗殺チームの上官、監督者たるモサド(イスラエル秘密情報機関)工作管理官・エフライム(ジェフリー・ラッシュ)も映画のひとつの核になる重要なキャラクターでしょう。 彼の存在感は、イスラエル国家の頑固な側面を体現するかのようにも思えました。 そして、主人公のリーダーシップ の下に使命を遂行して行く4人の面々も個々に映画にシャープさ、硬質なムードを加えて忘れ難いところです。この4人中ではダニエル・クレイグ〔※左Ph〕扮するスティーヴの精悍さ、切れ者ぶり(―性格的にもピリピリしたムードを放つやや短気なキャラクターだったかな…^^)が特に印象に残りました。 *** ・・・うーん、矢張り、僕など、初鑑賞時は良くも悪くも、映画の孕むテーマ的重みと映像が放つものの凄み、重みに打ちのめされてしまうばかりでしたね。 遅かれ、本作を再鑑賞した際、改めて『ミュンヘン』と云う映画から受け止めたものが自分の中で明瞭な形にでも為れば、その時には新たなエントリーをしてみます! (※2月16日、一部文章加筆、画像追加) 〔当ブログ内の関連記事〕 ◆◇「2006年度新作公開映画ベスト20~ダーリン/Oh-Well篇」 ■〔映画雑談Vol.15〕第78回アカデミー賞(3月5日開催)を楽しむ!―その1・ノミネーション篇 ■〔映画鑑賞メモVol.2〕『宇宙戦争』(2005/スティーヴン・スピルバーグ) 〔※本エントリーは、以下のサイトともリンク中〕 ** ミュンヘン@映画生活 |
by oh_darling66
| 2006-02-12 11:49
| ■映画鑑賞メモ/鑑賞プチ・メモ
|
<< ◆スティーヴン・スピルバーグ(... | ♪本日のいい訳がまし(第12回... >> |